チッソ(株)が、ビニールや化学肥料の原料となるアセトアルデヒドを製造する水俣工場の工程で、反応を進める触媒として投入した水銀が、工程内で有機化してメチル水銀になりました。有毒なメチル水銀を含んだ廃液を、そのまま水俣湾や不知火海に排出したため、海水中のプランクトンから稚魚を経て、それを食べる魚貝類に蓄積。そういった「食物連鎖」の中で水銀濃度は高くなるけれど、見た目には新鮮な魚のまま。それを毎日の食生活で食べ続けた漁民や沿岸住民が発病したのです。「奇病」として保健所に初めて届けられたのは1956年でした。(公式確認)
初期には伝染病だと誤解されましたが、翌年には汚染魚を食べたことによる食中毒だと判明します。食中毒なので患者との接触で感染することはありません。
水銀は、もともと人体に有害な物質ですが、有機水銀(メチル水銀)になると、脳や胎盤など、無機水銀では入れない人体の最も大事な部分にも、体のバリアを騙して侵入し、深刻な健康被害を起こします。メチル水銀は、徐々に体外に排出されますが、体内でメチル水銀が壊した神経細胞は元に戻らないので、障害が完治することはありません。
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