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Q&A水俣病7:水俣病事件や患者・住民の闘いは、私たちの暮らしと、どこでつながっていますか?



*世界の人々への警鐘 

微量の水銀汚染は不知火海だけでなく世界中の海で問題となっています。そのため2013年に水俣市で水銀を規制する国際条約が調印されました。2017年9月にジュネーブで開かれた水銀条約の締約国会議では、胎児性患者の坂本しのぶさんが「終わらぬ水俣」を訴えました。都会に出回る魚でもマグロやキンメダイなど水銀値の高い魚があります。魚を食べる文化を維持しつつ、妊娠後期の女性には魚種を定めて摂食の量を減らすよう警告する必要があります。水俣病の経験は、地球規模で環境汚染への警鐘となっています。


*都市の繁栄の陰で起きた悲劇 

塩化ビニールやプラスチック製品、ビニールハウスや化学繊維の服など。チッソが海洋汚染も構わず量産した製品から私たちは便利さや豊かさを得てきました。その陰で誰かに犠牲を強いていないかを常に考える必要があると、水俣病は教えてくれています。原発がつくる電気も同じだと思い当たります。


*患者さんの果敢な闘い 

一次訴訟(1969~73年・患者の勝訴)、チッソとの自主交渉(1971~73年・補償協定締結)、関西訴訟(1982年~2004年・患者の勝訴)、溝口行政訴訟(2001~2013年・患者の勝訴)等々、患者さんたちの果敢な闘いが被害者救済の道を切り開いてきました。不条理に対し異議を申し立てる人々の粘り強い闘いが、私たちにも勇気を与えてくれます。


*生命への慈しみ 

「産んでくれてありがとう」と母親に言う胎児性患者がいます。この子が自分の水銀を吸い取ってくれた、家族にとって「宝子」だという母親がいます。命の尊厳や家族の絆というものを患者さんたちから教えられます。


*風土の豊かさ・環境意識の高さ 

水俣は、穏やかな海と豊かな地下水に恵まれた風光明媚の地です。海や田畑に囲まれて暮らしながら、農薬を抑える農業や、漁業の再生に取り組む人々がいます。水俣市の「分別ゴミ」は全国有数で、高品質のリサイクル資源となっています。水俣市は2010年、NGOが主催する全国環境首都コンテストで「日本の環境首都」の称号を獲得しました。


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