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水俣と私たちの「距離」④空路・現地移動



今回は、東京や関西から水俣に「一番早く行く方法」「一番安く行く方法」、そして現地内での移動について考えてみる。


■どの空港からも遠い水俣

一般的に、都会から地方へ行くには旅客機使用が一番早い場合が多い。そして、最近は九州へも、JALやANAだけでなく、格安航空便も多々ある。


しかし、水俣市は熊本県の最南端に位置し、昔は「肥薩国境」として細川藩(幕府側)の番所も置かれた土地柄。鹿児島空港からも、阿蘇近在の熊本空港からも、近いとは言えない距離にある。


■鹿児島空港から二時間

旅客機を降りてからの近さで言えば鹿児島空港になる。とはいえ、空港からバスで水俣駅まで約二時間。一日にバス3便が水俣まで行くが、それ以外のバスだと終点の鹿児島県出水(いずみ)駅から第三セクターの「おれんじ鉄道」を使うことになる。北へ向かう上り線に乗ると、米の津(こめのつ)の先で国境を越え、袋・水俣・新水俣の順に停車する。


■熊本空港から水俣直通バスはない

熊本空港(阿蘇くまもと空港)に着く場合、県庁所在地の熊本市街や、八代駅に行くバスを使うことになる。いずれも所要約一時間。熊本駅や新八代駅からは九州新幹線で新水俣まで短時間で着く。


八代駅から不知火海の海岸線近くを「おれんじ鉄道」で一時間かけて往くと、肥後田浦以降、佐敷・湯浦・津奈木・新水俣・水俣・袋・米の津・出水・・の順。水俣以外も、被害史で見落とせない地名の駅が続く。


「鉄道」の章で記した通り、南北に長い不知火海の風光を眺めるには、この「おれんじ鉄道」下り線の、進行方向右側の窓際に乗り、八代以南で海が突然見えて来るのを待つ。急がぬ旅なら、これが一番「海とつながる水俣」を視界に収める方法となる。


■意外に早い福岡空港

景色は気にしない、お金が少しかかってもいい、という場合は福岡空港便の使い勝手がいい。羽田からの空の旅二時間弱は熊本便・鹿児島便と大差ないが、福岡行きは便数が格段に多い。そして、福岡空港とJR博多駅が市営地下鉄で2駅という近さだ。晴れた日の昼の旅客機で羽田から福岡空港に降りる時、ビルや住宅が密集した福岡市街が眼下に広がるので、騒音は大丈夫なのかと気になるが、空港と新幹線駅との近さは少なくとも九州一だろう。


それに加えて、九州新幹線が全線開通して以降は、博多駅からトンネルの多い路線を走って、新水俣まで一時間十分以内で着く。従って、羽田―(旅客機)-福岡―(地下鉄)-博多―(新幹線)-新水俣 ルートを使えば、朝八時ごろの便で羽田を発って、正午までに水俣の地を踏むことも可能となる。


■関西からは新幹線も

前記は東京から水俣に行く場合の「最短」である。京阪神からだと、関空や伊丹空港まで出て福岡空港に飛ぶよりは、新大阪発・鹿児島中央行きの直通新幹線に乗って4時間弱で新水俣に着く方が「最短」となる場合もあるだろう。なお、新水俣駅には停車しない新幹線もあるので、前もって時刻表で便を確認しておく必要がある。


■一番安く行くには

では、体力や時間は使ってもいいので「一番安く」水俣に行きたい人にはどんな方法があるか。


昔、水俣病をめぐる裁判の控訴審の傍聴で福岡高裁に行く時に使ったのが、「東京・新宿―福岡」の夜行バスだった。夜に新宿を発って翌日の正午以前に福岡に着く。料金は、通常料金の旅客機や新幹線より安い。最新の大型時刻表で調べたところ、関西からは京都・大阪・神戸経由で熊本着という夜行バスがある。


福岡からでも熊本からでも、その先、新幹線を使わずに水俣へ行くには「鹿児島本線」「おれんじ鉄道」を使うことになる。ただし、九州新幹線の開通以降、在来線は、鹿児島本線(博多―八代)・おれんじ鉄道(八代―川内)・鹿児島本線(川内-鹿児島中央)に経営が分断されているので、乗り継ぎなしに水俣まで行くことはできない。


水俣には、東京や関西の大都会とは少し違う「時間」が流れていると考えて、のんびり旅をするのも悪くない。なお、そういった、中央からの物理的な距離が近くないことは、特に今ほど交通や通信が発達していなかった時代、被害の深刻さが中央の政財界に伝わることを阻害する要因の一つだったことは、以前にも記した通りだが記憶にとどめておきたい。


■水俣市内の移動

水俣に着いてからの移動も考えておかねばならない。国道3号線で市内南部の被害多発地帯を通る九州産交路線バスは、昼間は1時間に1便程度だからだ。


「おれんじ鉄道」水俣駅から、市役所や繁華街とは逆方向、南に向かって水俣病資料館のある埋立地まで歩くと20分、歴史考証館を併設する水俣病センター相思社までは優に60分かかる。若い人や健脚の人、そして時間のある人には、てくてく歩きながら水俣の風光を心身に浴びるのもお勧めだ。


一番現実的なのは、空港やJR駅でレンタカーを借りる方法だろう。これを使えば旅行と見学に様々な選択肢が広がる。


久保田好生(東京・水俣病を告発する会/季刊「水俣支援」編集部)


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